中国入国フォームを正しく記入する方法

中国入国フォームを正しく記入する方法

中国への旅行は、仕事・観光・学業・家族訪問など、さまざまな目的であっても、エキサイティングかつ人生の転機となりうる経験です。しかし、到着時(あるいは時には到着前)に必ず行わなければならない重要なステップのひとつが、中国入国フォーム(China Immigration Entry Form) の記入です。この書類は、中国の出入国管理当局に、あなたの身元、渡航目的、および持ち込み品に関する正確な情報を提供するために不可欠です。もし記入ミスや漏れがあれば、不要な遅延や入国審査での混乱、場合によっては入国拒否といった問題が起こるおそれがあります。

以下のガイドでは、中国入国フォームを正しく記入するために必要なすべての情報を詳しく解説します。法的要件、最適な実践例、各セクションの詳細な説明、フォームの主要項目をまとめた便利な参照表、そして中国政府の公式情報源などを取り上げます。この包括的な記事を読み終える頃には、入国手続きでスムーズに対応できるようになり、中国での滞在を存分に楽しめるでしょう。


なぜ中国入国フォームが重要なのか

具体的な記入手順に移る前に、このフォームが存在する理由と、旅行にどのような影響を与える可能性があるのか理解しておきましょう。

  1. 法的要件:
    中華人民共和国では、すべての外国人訪問者が、身元や渡航目的などの正確な情報を提供することを義務づけています。これらの情報によって、入国管理局や税関当局は国内の安全保障を維持し、国境管理を円滑に行うことができます。
  2. 安全対策・健康対策:
    近年、健康に関する申告は特に注目されるようになりました。フォームには、症状や最近の病気に関する質問が含まれる場合があります。世界的な衛生上の問題(たとえばパンデミック)の際は、渡航履歴や健康状態に関する追加項目が加わることもあります。
  3. 統計および行政上の目的:
    提供されたデータは、中国の政府機関が訪問者数や観光客グループ、ビジネス渡航者数などを把握するうえで役立ち、将来的な政策決定に影響します。
  4. 税関規定の遵守:
    一部の場合、入国フォームや関連する宣誓書によって、持ち込み品に関する申告を求められる場合があります。これは商業サンプルから個人用の電子機器に至るまで、国境を越えて持ち込まれる物品が中国の税関法に違反しないよう確認する目的です。

こうした理由から、このフォームを正確に記入することは非常に重要です。誤記や抜けがあれば、しばしば長時間のフライト直後のタイミングでトラブルを引き起こしかねません。


公式要件とフォームの入手方法

渡航手段や中国への入国地によって、入国フォームの種類や形式が異なることがあります。従来は紙のフォームが多く、飛行機内や入国審査エリアで配布されていましたが、最近では北京・上海・広州といった大規模な空港の一部で、電子システムやデジタル端末が導入されるようになりました。

情報源および参照先:

  • 中華人民共和国 国家移民管理局(Exit-Entry Administration):
    http://en.nia.gov.cn/
    入国手続きや入国要件に関する最新情報、公式通知などが掲載されています。
  • 中国税関総署(GACC):
    http://english.customs.gov.cn/
    税関申告、禁止品目、免税枠などに関する公式ガイドラインを提供しています。
  • 航空会社:
    一部の航空会社では、フライト中に紙のフォームを配布する場合がありますが、実施方法はさまざまです。
  • 電子端末やE-Gate:
    一部の国際空港では、紙ではなく電子的に情報を入力する自動キオスクやeゲートが採用されている場合があります。

形式に細かな違いはあっても、求められる基本情報(個人情報、旅程、滞在先、場合によっては税関情報)に大きな変化はありません。それでは各パートを詳しく見ていきます。


中国入国フォームの主要セクション

入国地や書式(紙/電子)によって多少異なる場合があるものの、以下の項目がよく見られます。

  1. 個人情報:
    • 氏名(パスポート表記通り): パスポートに記載されているとおり正確に記入します。ミドルネームやサフィックスがあれば省略せずに書きます。
    • 国籍/市民権: 例:「日本」、「アメリカ」、「フランス」など。
    • パスポート番号: 入力ミスがないよう慎重に確認してください。
    • 生年月日: 多くの場合、DD-MM-YYYYまたはYYYY-MM-DD形式です。フォームの指定があれば従ってください。
  2. 渡航情報:
    • フライト番号または船舶番号: 飛行機の場合は航空会社の便名(例:CA936、Air China)、船の場合は船名を。
    • 到着日: 中国の現地日付を使用。深夜以降に着く場合は日にちの切り替わりに注意。
    • 入国地: 主要空港や港など(例:北京首都国際空港(PEK)、上海浦東(PVG)、広州白雲(CAN)など)。
  3. 中国での滞在先:
    • ホテルまたは滞在先の住所: ホテルの場合は正式名称と詳しい住所を。部屋やアパートメントがあるなら、通り名や市区町村を正確に書きます。
    • 連絡先電話番号: 必須とは限りませんが、あるほうが望ましいです。中国のSIMをまだ持っていないなら海外の番号でも記入できます。すでに現地番号を持っていればそちらを推奨します。
  4. 滞在期間と訪問目的:
    • 観光、ビジネス、就労、留学、トランジット、家族訪問など: ビザの種類と実際の旅行目的に合致した欄を選択。もし複数あるなら最も主要な目的を選びます。
    • 滞在期間(何日間か): 7日、30日、90日など、計画している期間を記入します。
  5. 税関・健康申告:
    • 制限対象品の有無: フォームには、武器、弾薬、薬物、その他禁止品の有無を質問する欄があります。「有」「無」を正直に記入しましょう。
    • 大金の所持: 中国では、持ち込み可能な現金額の制限(例:5000米ドル相当)が設定されています。
    • 食品・動植物: 生鮮食品や種子、動物を持ち込む場合は、税関規則に基づき申告が必要です。
    • 健康状態: 近年の疫病や伝染病対策として、最近の体調や感染の可能性について問われることがあります。
  6. 署名と日付:
    紙/電子いずれの場合も、最後に署名(あるいは電子署名)と日付を入れて完了となります。署名は記入内容の正確さおよび真実性を誓うものです。

正しく記入するためのステップ・バイ・ステップ

以下は、従来型の紙ベースの中国入国フォームを想定した解説です。空港でキオスク端末やオンライン入力を利用する場合でも、基本的に同じ内容を入力します。

  1. 用紙を入手する:
    • 機内: 国際線の機内では、客室乗務員がこの書類を配布する場合があります。自動的に渡されないときはリクエストを。
    • 到着ホール: 多くの空港にはフォームの紙が置かれているカウンターやスタンドがあります。英語の案内板があることも。
    • オンライン(可能な場合): 一部空港や地方自治体がフォームのダウンロードを提供していますが、最新版か確認を。
  2. 黒または青のペンを使用: 鉛筆やカラーペンは避け、読みやすさを確保します。大文字で書く指示があれば従ってください。
  3. まず個人情報を記入:
    • パスポート記載どおりに名前、パスポート番号、生年月日、国籍を記載。
    • 入力ミスがないか再確認しましょう。
  4. 渡航情報を入れる:
    • 航空便名(例:「CA980」「BA123」)や、船であれば船名を。
    • 出発地の都市および中国での到着空港を記入。
  5. 滞在先情報を記入:
    • ホテルの場合、正式名称と正確な住所。
    • 電話番号を入力。中国SIMが無いなら外国の番号でも可ですが、既にある場合は現地番号を推奨。
  6. 訪問目的と滞在期間を記載:
    • 該当する項目(観光、ビジネス、留学、就労など)にチェックを。
    • 何日間滞在するか書きます。
  7. 税関申告:
    • 違法物品や高額な現金、免税枠を超える持ち込み品があるなら正直に申告しましょう。
    • 悩む場合は申告したほうが安心です。
  8. 健康に関する項目(ある場合):
    • 大規模な感染症流行時など、専用書類があるかもしれません。主フォームに含まれている場合は、体調や発熱の有無、リスク地域への渡航歴などを正直に回答。
  9. 署名・日付:
    • パスポートの署名と同じものを。
    • 到着日や時刻を見誤らないようにしましょう(夜間便などは要注意)。
  10. 最終確認:
    • 全項目をざっと読み返し、スペルや数値の間違いをチェック。
    • ミスを見つけた場合、新しい用紙をもらうか、修正が可能なら丁寧に修正します。
  11. 用紙を提出:
    • 入国審査官に渡すか、対応する機械にスキャンさせます。何らかの切り取り部分(例:出国カード)があるなら、指示に従って保管してください。

よくある間違いと回避方法

たとえ経験豊富な旅行者でもうっかり失敗することがあります。以下の点に気をつけてください。

  1. 不完全な名前や愛称の使用: パスポート通りの氏名のみを使い、ミドルネームや正式なスペルを省略しないでください。
  2. フライト情報の入力ミス: 便名の桁違いや、到着・出発データを取り違えると、審査時に混乱を招きます。
  3. 訪問目的の齟齬: 観光ビザを持っていながら、実際は大規模なビジネス活動を計画していると、不自然な矛盾が生じかねません。小さな相違では問題化しない場合もありますが、疑いを招く可能性があります。
  4. 高額品の未申告: 1台のノートPCやカメラ程度は問題になりづらいですが、複数台持っていると商用目的と思われる場合があり、その場合は申告が必要です。申告せずに見つかると違反と判断される場合があります。
  5. 雑な筆記や誤字・脱字: 疲労や焦りで文字が読みにくいとトラブルの原因になります。落ち着いて書きましょう。
  6. 健康関連要件の誤りや無視: 別途用意された健康申告用紙があるのに、白紙のままだったり記入を怠ったりすると、追加のチェック対象になりうるので注意が必要です。

中国入国フォームのリファレンステーブル

下記は、一般的な中国入国フォームの項目をまとめた表と、その正しい記入のポイントです。

項目 説明 ポイント
氏名(パスポートどおり) あなたの公式な氏名をパスポートにあるとおりに。 必要に応じて大文字で記入。スペルの完全一致必須。
国籍/市民権 あなたが所持する国籍。 例:「日本」、「ブラジル」、「英国」。
パスポート番号 パスポートのIDページにある英数字のコード。 数字の見間違いや入力ミスに気をつける。
生年月日 (DOB) 日・月・年(形式は場合により違う)。 DD-MM-YYYYまたはYYYY-MM-DDの指定があれば従う。
性別 男性、女性、またはパスポートによっては「X」の場合も。 通常は「M」か「F」だが、一部で「その他」を選択可能な場合あり。
フライト/船舶番号 搭乗する航空便の番号、もしくは船名。 例:「CZ310」(中国南方航空)、あるいは「AF198」(エールフランス)など。
到着空港/港 中国への入国地点(空港や港)。 例:「PEK–北京首都」、「PVG–上海浦東」。
到着日 中国到着の現地日付。 夜便や時差に注意して正しい日付を。
訪問目的 例:観光、ビジネス、就労、留学、家族訪問、トランジットなど。 所持するビザの種類と一致している必要がある。
推定滞在日数 中国での滞在期間。 わからなければ、ビザの上限や概ねの計画日数を記入。
中国での住所 ホテル名、番地、地区など。 英語表記、もしくはピンインで書くと通りやすい。
電話番号 ローカルまたは海外の連絡先。 中国のSIMを未取得であれば外国番号でも可だが、すでにあれば現地番号が望ましい。
税関申告 禁止品、所持金額が大きい場合、持ち込む食品や植物など。 不安なときは申告しておいたほうが安全。意図せぬ違反扱いを防げる。
健康状態(該当する場合) 発熱や病歴、リスク地域への渡航履歴などを記入。 パンデミックなどの緊急時期には特に重要。
署名と日付 提出情報の真実性や正確性を誓約。 パスポートの署名と一致させ、日付も正確に。

公式審査および追加手続きの可能性

フォームを提出すると、入国審査官が質問する場合があります。

  • 住所や旅程の確認:
    宿泊先の予約票や招待状の提示を求められ、記載内容との整合性を確認される可能性があります。
  • 追加の健康チェック:
    症状などを申告した場合や、リスク地域から到着した場合は簡易的な検査が実施されるかもしれません。
  • 税関検査:
    回答に気になる点があれば「レッドチャネル(赤色通路)」で詳細検査を受けるように指示されることがあります。高価な物品の領収書などを事前に用意しておくとスムーズです。

落ち着いて対応し、誠実に答え、求められた書類を出せば、通常は問題なく進むでしょう。


出国カードや退国フォームに関する注意点

中国の一部のポイントでは、出国時に「Departure Card(出国カード)」の記入が必要となる場合があります。そこには出発便の番号、日付、基本的な個人情報などを記載します。大きな空港では紙の書式が省略され、自動化されているケースも増えています。現地の入国管理担当者に確認してください。要求があれば、そのカードは滞在中しっかり保管しておきましょう。紛失すれば帰りの手続きで時間を取られるかもしれません。


追加リソースと規則の変更

中国の入国管理システムは進化し続けています。主要空港では、すでにパスポートや顔認証を利用して到着プロセスを簡素化するeゲートが運用されている場合があります。今後も新技術の導入により、紙のフォームがデジタルプラットフォームに代わっていく可能性があります。最新情報を得るには:

  • 国家移民管理局オフィシャルサイト:
    http://en.nia.gov.cn/
    eゲートの拡張、新しい試験運用や更新された政策についての情報が掲載されます。
  • 自国にある中国大使館/領事館:
    渡航前にホームページを確認しましょう。世界情勢や地域の事情によって急に要件が変わる場合があります。
  • 航空会社の最新情報:
    オンライン健康申告などを要する際は、航空会社が案内を出すことが多く、直前の情報も受け取れます。

スムーズな入国のための実用的アドバイス

  1. 筆記用具と予備の用紙を持参:
    記入ミスが怖い場合や家族連れの場合、余分なフォームがあると安心です。小さなエラーでも書き直しが必要になることがあります。
  2. はっきりした字で書く:
    フォームが複数言語で用意されているなら、英語あるいは中国語など自分がより確実にできるほうを選び、読みやすく記入してください。
  3. 簡単な中国語を学んでおく:
    “姓名”(名前)、“国籍”(ナショナリティ)、“签名”(署名)など、ごく基礎の用語がわかるだけでも、翻訳されていない部分を補えるかもしれません。
  4. 時差に注意:
    深夜便で日付が変わる場合は、正しい到着日を確認しましょう。数時間のずれで日付が翌日に切り替わります。
  5. 関連書類を手元に用意:
    パスポート、搭乗券、ホテル予約確認書、招待状などをすぐ取り出せるようにしておくと便利です。
  6. 追加の衛生対策に備える:
    パンデミックや大規模感染症発生時には、医療用フォーム、健康コード、PCR検査の要否などがしばしば求められます。
  7. 焦らずに確認する:
    最後にもう一度見直し、入国審査ブースで余計に時間がかからないようにしましょう。急ぐ場合は、地上係員や客室乗務員に手伝いをお願いするのも選択肢です。

まとめ

中国入国フォームを正しく記入することは、現地到着後の手続きを円滑に行うための第一歩です。個人情報や旅程、税関・健康に関する申告まで、一つひとつ正確に記入することで、中国当局の審査がスムーズに進み、トラブルのリスクも大幅に減らせます。シンプルに見えるこの書類は、中国の法律や規則を尊重する意思の表れでもあります。

情勢によって要件が変わる可能性があるため、国家移民管理局や中国税関総署といった公式チャンネルから最新情報を収集しておきましょう。観光、仕事、留学、家族訪問など、どのような目的であれ、必要書類をきちんと揃え、指示に従うことがスムーズな入国のカギです。本記事のアドバイスを参考にしつつ、少しの準備と冷静な対応を心がければ、入国手続きはスピーディに済ませられるはずです。そして、存分に中国での体験を楽しんでください。


F&Q:

  1. Q: 中国入国フォームと税関申告は同じものですか?
    A: 多くの空港では、それぞれ別個の書類として扱われています。しかし一部では統合されている場合もあるため、見出しや注意書きを確認してどの書類を記入すべきか判断してください。
  2. Q: 到着前にオンラインで入国フォームを記入することはできますか?
    A: 主要な空港のいくつかは電子式やアプリで事前申告を受け付けています。航空会社や空港の公式サイトを確認してください。それ以外の場合は、機内または到着時に紙で記入するのが一般的です。
  3. Q: トランジット(乗り継ぎ)で中国に来るだけで、空港から出ない場合はどうなりますか?
    A: 国際線の乗り継ぎエリアから出ないトランジット客なら、短縮版のフォームや何も提出しなくても済む場合もあります。ただし、空港の外へ少しでも出る場合は、通常どおりフォームを記入し、短期の滞在許可が必要となることがあります。
  4. Q: 高価な電子機器(プロ向けカメラやノートPCを複数台など)は申告すべきですか?
    A: 個人使用目的として1台程度なら問題になることはあまりありませんが、複数台あると商用と思われる恐れがあるため、念のため申告したほうが安全です。申告を怠ると罰金や没収のリスクがあります。
  5. Q: 書類は中国語で書かなければならないのでしょうか? 英語でもいいですか?
    A: 外国人向けに用意された多くのフォームでは英語での記入が認められています。中国語と英語が併記されている場合が多いですが、もし中国語版しかない場合は、補助資料が付いていたり、航空会社のスタッフからサポートを受けられることが多いです。
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